書評

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「屋久島トワイライト」樋口明雄 2022年 山と渓谷社 書評

世界自然遺産屋久島が舞台となっている本書。屋久島と言えば、屋久杉に代表されるように太古からの自然が色濃く残った場所であることは説明するまでもないだろう。しかし、それだけではなかったのだ。この島には異界への入口があり、数多くの怪異譚があり、そ...
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「サンズイ」笹本稜平 光文社文庫 書評

“サンズイ”聞きなれない言葉がタイトルとなっている本書。サンズイとは、警察用語で“汚職”のことである。“汚”の漢字の部首からきていて、ほかには、詐欺は、“ゴンベン”、偽造は“ニンベン”とも言われるようだ。また、警察小説を読まれる方にとっては...
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「わたしたちの秘密」中江有里 中公文庫 書評

主人公である玉(たま)青(お)は30歳。派遣社員として働いている。学生時代の先輩である青島とも交際し、一見どこにでもいるある意味普通の大人の女性である。しかし、その内実はそうではないのだ。人には打ち明けられない悩みを抱え、頼るべき親兄弟や友...
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「漂流」吉村昭 新潮文庫 書評

「漂流」(吉村昭・新潮社・昭和55年11月25日発行)は令和3年10月25日64を数えている。これだけの名著を評するなんていうことは僭越も甚だしいが、私なりの視点から思うままに書いてみようと思う。  舞台は江戸・天明年間(1700年代)であ...
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新潮選書 『十五少年漂流記』への旅 椎名誠 書評

今年2月、東京神田神保町の古書店巡りの際にふらっと立ち寄った三省堂本店の最後の古書市。何気なく棚をのぞき込んでいると目に入ってきた文字“椎名誠”これは、本が私を呼び込んでいると感じる。というか、学生の頃からのめり込み、“椎名誠”の本を文字通...
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「狩りと漂泊」~裸の大地第一部~角幡唯介(2022年3月集英社) 書評

「だから私は、できれば自分の死を担保した状態で狩りをしたいと思う。そして、どうせいつか死ぬのなら、最後は熊か何かに殺されて死ぬのがつりあいがとれていいとも思う。」筆者である角幡唯介が今回の旅の中で巨大な麝香牛を仕留めた時の言葉だ。また、こん...
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「日本人とエベレスト~植村直己から栗城史多まで~」書評

「日本人とエベレスト~植村直己から栗城史多まで~」世界最高峰であるがゆえの「宿命」と「呪縛」から、逃れられないエベレスト‐――。その歴史と実像にせまる、日本人による初登頂50年の記録(帯文より)について書評を書いてみた。
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月刊たくさんのふしぎ 地球縦断の旅~北極から南極へ~石川直樹 小学生だけではもったいない!

主に小学校3年生からの子どもを対象とした「たくさんのふしぎ(福音館)」はよく学校図書館にも置かれている。子ども達が興味をもって手に取ることはあるが、いわゆる大人の目に触れることは多いとは言えない。しかし、大人が読んでも実に興味深く読めるものは少なくない。2022年5月号は写真家石川直樹氏が20年以上前に体験した“地球縦断の旅”~北極から南極へ~である。小学生を対象に書かれたこの文章と写真表現に触れると、きっと「完全版この地球を受け継ぐ者へ~地球縦断プロジェクトPole to Pole全記録~」(ちくま文庫2015/6/10)への興味が湧くはずだ。小学生だけに読ませるのはもったいない。是非!
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神田で見つけた!「星野道夫~約束の川~STANDARD BOOKS 」星野道夫をリスペクトする思いを込めて読書アドバイザーとして書評を書いてみた!

本の街神田神保町で古書店をめぐりつつ、ふらりと入った神保町ブックセンターで偶然見つけた「星野道夫~約束の川STANDARD BOOKS」星野道夫が神田の古書店でシシュマレフ村の写真を見つけて行動を起こしたのは有名な話。同じ町で偶然見つけた一冊の本。尊敬してやまない星野道夫。リスペクトの思いとともに読書アドバイザーとして書評を書いてみた。