読み聞かせ絵本紹介⑮

絵本読み聞かせ

 今回は6月に田島征彦の絵本「なきむしせいとく」原画展へ訪れた際に購入した2冊。

1冊目「のら犬ボン」(作:たじまゆきひこ くもん出版 2017年9月)は、筆者である田島さんが、淡路島へ通い野良犬や動物保護に関わる人々へ取材を重ねて描かれた。本の中のお父さんは、ちょっと悪い役柄となっているが、お話を聞いている子ども達にとっては、ある意味分かりやすくお話の中の子どもに自分を重ねていきやすい。のら犬だったボンは大切な家族だったはず。捨てられたボンはどうなってしまうのか。今なお人間の都合で可愛がられたかと思うと、簡単に捨てられたり、挙句の果てには殺処分。こんなことが許されていいわけないだろう。現在のペット産業や、動物愛護にも一石が投じられているような気がする。素直な子ども達にはきっとまっすぐに染み渡る1冊。

2冊目「いもさいばん」(文:きむらゆういち 絵:たじまゆきひこ 講談社2016年7月)は、田島征彦さんと木村裕一さんが初めてタッグを組んでできあがった1冊。おじいさんが丹精込めてできあがった立派なおいもが盗まれた。いもを盗んだ動物達は言う。いもは、お日様や土、雨の恵みでできるものだと。確かにその通り。いもは一体誰の物。日本中で、野生動物による作物の食害が起きている。お話を聞いた子ども達は、いろんな考えを口にするはず。ユーモアと力強い絵の勢いを感じる。こちらも、何か考えさせられる。

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