「とんがりみんどりとトカゲのカナ子」創作記録③

絵本創作

 さて、前回に続きモダンテクニックの話である。今回は、“ドリッピング”と“吹き流し”である。前者は、多めの水でといた絵具を筆に含み台紙にたらすものである。私の場合は、今まで数多く描いてきた詩画の中でモダンテクニックとは意識せずに使っていた技法で、(技法と書くと少々大袈裟だが)台紙にたらすというより、結構勢いよく筆をふって水滴を落とす感じで行っている。本書では、P.24/25の「それでもカナ子はりっぱなおおきなとかげになった。」のページで使っている。虹色の背景になんとなくもう少しインパクトが欲しくて、白い絵の具を含んだ筆を勢いよく振ってみたのだ。(結構気に入っている)今までの詩画の中では金や銀の墨液を無造作にたらすことが多く、作品の最後の仕上げとして使うことが多かった。時にたらしすぎだったかなと若干後悔したこともあるが、良い雰囲気を出してくれるテクニックとしてお気に入りだ。

 そして、後者はたらした絵具をストローで吹くと、思わぬ模様ができたり、予想もしなかった方向へ流れていき混ざりあったりして面白い。色の雰囲気は狙うこともあるが、やはり偶然の産物だ。本書では、表紙裏表紙とP.18/19の「3にんでがんばってせわをしたかいがあってカナ子はすくすくおおきくなった。」の場面で使用している。カナ子の成長の様子を吹き流しの雰囲気で醸し出したいと考えた結果だ。

 ということで、「とんがりみんどりとトカゲのカナ子」創作記録は今回でお・し・ま・い。

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