「くじらのカレー」創作記録①

絵本創作

 久々の絵本創作記録。今回は、「くじらのカレー」(いといふみひこ・2022年9月30日ニコモ)について書いてみようと思う。本書は、ぼくにとって初めての試みがたくさんある。まずは、何といってもオールコラージュなのだ。簡単に言うと貼り絵だ。ごく普通の折り紙を使って、それを切り取ってどんどん貼り付けてつくっていったのだ。いや、どんどんというのはちょっと違うか。登場するくじらとねずみとひつじ、そして人間の女の子かんなちゃんは画用紙で型紙を作り、それを折り紙に写し取って切り取っていった。同じ向きで出てくる場面では確実に同じフォルムにするためだ。また、細かいパーツは、折り紙に下絵を描いたり、場合によってはいきなりカッターナイフで切っていったりもした。それをピンセットでつまんで貼り付けていくのだが、これがなかなかうまくいかない。まあ、ほぼ初めての作業だから仕方がないのかもしれない。手で押さえつけると、手にくっついて戻ってきたり、大事なパーツが剥がれてしまったりと悪戦苦闘。また、重ねて貼り付けたい部分でイメージとは違ってはみ出てしまったり、少し足りなかったりもする。今になって改めて絵をよく見ると、いかにも素人仕事だなあと恥ずかしくなるところもあるが、その時は、「まっ、いいか。」と妥協して進んでいってしまったのだろう。これではだめだ。だがしかし、この作業はやっぱり楽しかった。作業中にも新たなイメージが湧いてきて修正を加えながら1ページずつ進めていくことができた。もちろん、創作前には全体像のイメージとラフスケッチ等はできている。そのイメージを実物に投影していく作業の中で、つまり、自分の手を動かすことで新たなイメージとの隙間を埋めていくことができるのだと思う。これは、絵の具を使って絵を描く時とは少し違う感覚だった。新たな発見だ。さて、今回はこのあたりで。次回は、話ができた背景を中心に書いてみるつもりだ。

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